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しかし、OMA(OMGが制定したアーキテクチャ)の設計方針として、不均質な分散環境にあるオブジェクトの結合に関しての面倒くさいところは全てORBに代行させているため、ORB間Interoperabilityがないと、ある”A”というORBで開発したオブジェクトと、”B”と言うORBで開発されたオブジェクトを結合することが不可能となってしまうからである。このORB間のInteroperabilityを表現した図を図6.3−1に示す。
このORB問Interoperabilityを実現するために必要不可欠なのがIIOP(Internet Inter- ORB Protocol)とIOR(Interoperable Object Reference)である。IIOPはCORBA2.0で規格となった異ORB間通信プロトコルである。このプロトコルに沿ってORBが通信すればORB間Interoperabilityが実現できるという仕組みである。というよりも、各ORB製品のベンダーはIIOPを採用して、製品を作らなければならないのである。そしてこのIIOPの中で、実際にプログラマが利用するのがIORである。IORはアクティブオブジェクトの情報を含んだ標準フォーマットである。その標準フォーマットの内容は図6.3−2で示される。結局このIORとOMG IDLをCORBA準拠全ORB製品に組み入れることによってORB間通信を実現し、ネットワーク中のオブジェクトへのアクセスが可能となる。しかしここで問
題となるのは、通信するORBのIORを明示的に与えなければならないことである。
またこのIIOPは、Internet WWW BrowserであるNetscapeの次バージョン(Netscape4.0)に取り入れられることが決定している。現在のNetscape3.0はそれ自体がJava実行環境を持っているが、そのJava用のIIOPの実装として、VisiBroker for Java(ORB製品の1つ)の機能を組み入れることが決定しているのである。NetscapeがInternet Browser市場の大部分を占めることを考えると、もちろんInternetのオブジェクトの配置など問題は多いが、分散環境のオブジェクトをORBで結合して資源利用するという将来のInternetの形が実現に近くなっていると言える。

 

 

 

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